石山寺−岩の上に聳える多宝塔
今日は,滋賀県大津市にある石山寺(いしやまでら)について説明します。
このお寺の歴史は古く,聖武天皇の勅願寺(天皇が国家の安寧などを祈るのに用いた寺院)として創建されました。
よって,このお寺は皇室との繋がりが深く,寺紋(お寺の紋章)も菊の花を裏からみた図となっています。「皇室を裏から支える」という意味が込められているのです。
聖武天皇という偉大な天皇の勅願寺であったため,平安時代以降も貴族たちの間でこのお寺への参拝が流行し,それは「石山参り」と呼ばれたそうです。
石山参りとして紫式部もここに参籠し,源氏物語の「須磨」と「明石」の帖の起草をしたとのことです。なお,源氏物語が全てここで書かれたわけではありません。
石山という名前の由来は,この辺りに巨大な珪灰石がゴロゴロ転がっていることです。
なお,戦国時代に織田信長と戦った石山本願寺とは関係ありません。
次に見所を説明します。見所は二つあります。
第一に,なんといっても国宝の多宝塔でしょう。
「多宝塔」は馴染みがないかもしれませんが,,第一層が四角形,第二層が円形の形をした塔です。写真を見ればわかると思います。
日本には国宝の多宝塔が何基かあるのですが,ここはそのうち日本最古のものです。源頼朝が寄進したものと言いますから,鎌倉時代初期のものということになります。
多宝塔それ自体も美しいのですが,なんといっても一番美しいのは,多宝塔を本堂などがある位置からみた風景です。巨大な珪灰石の山の上にある多宝塔というアングルは最高です。
しかしこの多宝塔には残念なところがあります。それは,たくさんの
落書きがされていることです。
写真は撮り忘れましたが,釘などの硬いものを使って壁が傷つけられ,名前や日付(おそらくは参拝(侵入といった方が良いでしょうが)した記録を残したのでしょう)が彫られています。
こういう様子を見ると悲しくなります。
第二に,本尊の如意輪観音坐像です。
石山寺らしく,ゴツゴツした岩の上に座っている様子の如意輪観音です。如意輪観音というと,6本の腕を持つものを想像する方も多いかもしれませんが,ここは二臂です。岡寺のそれなどと同じです。また,約3メートルある巨像とのことです。
ただし,見所と言いましたが,実は私もみたことがありません。というのは,この仏像は33年に一度しかご開帳されないからです。前回開帳されたのは令和元年ということですから,あと30年近く見ることはできないでしょう。
よって,その姿をGoogle画像検索などで見て,実際に石山寺の本堂の大きな厨子を見ながら姿を想像してみては?
それでは。