山田大雅の仏像ブログ

仏像好きがお寺や仏像などについて解説します。

櫻井神社−日本最古の拝殿

今日は、大阪府堺市にある櫻井神社について説明します。

 

(どうでも良いですが、このブログで初めての神社の紹介記事です。)

 

場所ですが、ややアクセスが悪いです。泉北高速鉄道泉ヶ丘駅が最寄りだと思われますが、そこからは2キロ以上の距離があります。

 

櫻井神社といっても「どこだそれ」という方も多いと思われます。

 

どうしてそんな櫻井神社を紹介するのか。理由はただ一つ、ここには現存日本最古の拝殿(国宝)があるからです。

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拝殿。真ん中には通路がある。このような形式の拝殿を「割拝殿(わりはいでん)」というらしい。

この拝殿は鎌倉時代初期のものです。

 

お寺をよく回られている方ならば、鎌倉時代初期の建築物などそこら中にあると思われるかもしれません。

 

しかし神社では、これほどの古さの建築物は極めて珍しいです。例えば、最古の神社建築物とされる宇治上神社の本殿でも,建築年代は平安時代後期であるとされています。

 

神社というと,「崇神天皇のころに作られた」みたいなものが本当に多く存在しますから,お寺以上に古い建築物が残っているようなイメージがあります。しかし実際はそうではなく,一番古いのでも平安時代後期ということなのです。

 

どうして神社建築に古い建物があまり残っていないのか。もちろんたまたまそうなったという側面もあるでしょうが,一つの理由として,神社の考え方が影響していると予想しております。

 

神社においては,神様の依代である社殿は常に新しく綺麗なものを,という考えがあります。その代表例が伊勢神宮その他全国の諸々の神社で行われている式年遷宮です。式年遷宮というのは,一定期間ごとに社殿を新しく建て替えるものですね(なお,実際には,式年遷宮といっても,文化財保護の観点から改築はせずに補修のみをするところも多くあります)。あれはそのような趣旨で行われるものなのです。

 

そのように,神社においては,古い社殿をそのまま使い続けることが良いことであるという考えが比較的乏しいのでしょう。そのため,歴史のある建物であっても,何か機会があればそれを取り壊して新しく建て替えるということにそれほど抵抗がないものと考えられます。

 

櫻井神社の説明というより神社建築の説明がメインとなってしまいましたが,これにて説明は以上です。

 

櫻井神社も,宇治上神社も,それほど知名度は高くないと思われます(もっとも,後者は世界遺産ですが)。しかしどちらも見応えがあります。時間があればぜひ行ってみてください!

 

それでは。