山田大雅の仏像ブログ

仏像好きがお寺や仏像などについて解説します。

壽宝寺-実際に千本の手をもつ観音菩薩

今日は、京都府京田辺市にある壽宝寺(じゅほうじ)について説明します。

f:id:butsuzo-suki:20210918095907j:image
京田辺にある小さなお寺ですが、ここの千手観音が本当に素晴らしいです。


なぜかというと、まず、この千手観音には実際に1000の手が付いているからです。このように、実際に1000の手がついた千手観音を「真数千手観音」と呼びますが、その一つです。


真数千手観音は日本にわずかしかありません。大抵の千手観音は、千手といっても実際の手の数は42本などだからです。


著作権の関係でこのブログに写真を貼ることはできませんが、是非Google画像検索で「壽宝寺 千手観音」と調べてみてください。所狭しと敷き詰められた1000本の手が本当に圧巻です。


さらにすごいのが、この千本の手の平の一つ一つに眼の模様が描かれていることです。


千手観音の正式名称は千手千眼(せんじゅせんげん)観世音菩薩です。その名の通り、千手観音は千本の手と千個の眼を持った観音菩薩であり、手のひらにはそれぞれ眼を描くこととされています。


しかし、他の多くの仏像は、目が描かれていないか、描かれているとしても薄くなって見えなくなっているか、あるいは遠くからしか拝観できず、目を確認できません。


ここの仏像は、近くから見ることができることもあり、眼が描かれていることがはっきりと確認できます。これがまた良いところです。


最後にこの千手観音の由来を説明します。


もともとこの千手観音はここのお寺のものではなく、近くにある神社の神宮寺(神社に付属して建てられているお寺のこと)に安置されていました。


それが明治時代になり、神仏分離の動きでこのお寺に避難してきて、今に至ります。


これは直感的な議論になってしまいますが、明治時代に神宮寺から避難してきた仏像はかなり素晴らしいものが多いイメージがあります。


例えば、法隆寺地蔵菩薩と三輪の聖林寺の十一面観音は、ともに国宝の超優品ですが、いずれも大神神社の神宮寺から明治時代に避難してきたものです。


さて、ということで、今日は壽宝寺を紹介しました。


ここは電話での事前予約が必要なので、是非予約の上(いつまでに予約すべきと決まっているわけではありませんが、係員と日程が合わなければならないため、早めの予約をお勧めします)、是非行ってみてください。


それでは。