施福寺–山中にある古刹
ここは、西国三十三所の第4番札所として有名です。
まずは公共交通機関を使った場合のアクセスから説明します。
泉北高速鉄道和泉中央駅まで電車で移動し、そこから槇尾山口行きのバスに乗車してください(バス停は2番です)。バスの乗車時間は約30分で、運賃は340円です。
バスは30分に1本という結構な頻度で出ているので、それほど利便性が低いことはありません。
槇尾山口を降りたら、4キロ歩くとお寺の山門(入り口の門)に着きます。GoogleMapsなどでみると、この道は車道のみの一本道のように見えて歩くのは危険そうにも思えます。
しかし実際には、それほど車の交通量は多くなく、安全です。この道は施福寺で行き止まりとなっていて、どこかに繋がっているような道路ではないので、交通量も多くないのでしょう。
以上のアクセスをお勧めします。
なお、他のサイトなどでは、上のルートではなく、途中で別のバス(オレンジバスというらしいです)に乗り換えてさらに「青少年の家」まで移動し、そこから歩く方法が紹介されています。確かにこちらの方が、歩く距離は少なくて済みます。
しかし、オレンジバスは本数が少なくて時間調整が面倒である一方、上述の通り、槇尾山口から槇尾山までの道はそんなに危なくないので、4キロ歩くのが気にならなければ、槇尾山口から歩けば良いと思いました。
ちなみに自動車で行く場合、山門前に駐車場があるので、そこに停めれば良いです。
さて、いずれの方法で行っても、施福寺に行くには、山門からある程度長い階段を登らなければなりません。頑張ってください。
さて、次にこのお寺の由来を説明します。ポイントは3点あるので、簡潔に述べます。
①施福寺の山号は槇尾山(まきのおさん)といいます。この名の通り、施福寺は槇尾山という山の上に立っています。
槇尾山は昔「巻尾山」と書かれ、奈良桜井の巻向山(纏向遺跡の近くの山です)にお祭りされた神様を勧進して祀っていた場所だそうです。
それが欽明天皇の時代、同天皇の勅願寺としてここにお寺が建てられました。これがお寺の始まりです。
②平安時代初期には、唐への留学から帰ってきた空海が一時このお寺にとどまります。空海はその後京都の神護寺に移りました。
③平安時代中期には、西国三十三所再興でお馴染み花山法皇がこのお寺にお参りに来ます。
花山法皇は3番札所の粉河寺(和歌山県岩出市所在)からはるばるここまで来ようとしました。しかし、槇尾山が厳しくて挫けそうになってしまいます。伝説によると、そんな苦しむ花山法皇を施福寺の馬頭観音(後述します)が助けて、無事施福寺に至ることができました。
そこで花山法皇は、この苦しかった旅を歌に詠みました。これが西国三十三所の御詠歌の発祥です。西国三十三所にはそれぞれのお寺に御詠歌がありますが、花山法皇自身が詠んだのは施福寺のものだけだそうです。
以上が由来です。
次に見所を紹介します。見所は2点あります。
一点目は、本堂に安置される方違(ほうちがい)観音です。
このお寺は仏像の写真撮影が可能なので、以下に写真を掲載します。
2-3メートルはある巨像です(係員の説明によると5メートルらしいですが、多分これは仏像が立った場合の話をしているのでしょう。立って5メートルということは丈六仏ということなのでしょうから、像高は2.5くらいなのでしょう。)。
方違観音とは、悪い方角を良い方角に変えてくれる(陰陽道の話です)観音様とのことです。尊格としては聖観音ですが、上記ご利益があることから特にこう呼ばれ、日本にここしかないそうです。
そんな方違観音がなぜここにあるのでしょうか。
それは、ここが和泉、河内そして紀伊の三国に接する場所だからです。三国に接することから、方位がない場所と考えられ、このような仏像が安置されたとのことです。
、、、ただ、三国に接しているから方位がないというロジックは、ちょっと理解できませんでした。
ちなみに、同じようなロジックが登場するものとして、堺市にある方違(ほうちがい)神社というものを紹介します。
この神社も和泉、河内そして摂津の三国に接している場所です。
この神社は、三国のちょうど真ん中にある三国山(今の三国ヶ丘)にあり、どこの国にも属していないと考えられたことから、方位がないと考えられて方違のご利益があるとされたそうです。
この神社は施福寺と異なり「どこにも属しない」という話が登場していますが、だからといってロジックはよく分かりません。
もし何かお分かりの方がいたらコメントで教えてください!
前述の通り、花山法皇はこのお寺に来るのに大層難儀しました。そんな法皇は助けて無事お寺まで導いてくれたのがこの馬頭観音です。
この馬頭観音の特徴は、なんといっても足の裏をこちらに見せていることです。
馬頭観音に限らず、私は足の裏をこちらに見せる仏像を見たことがありません。
足を向ける理由は、足腰にご利益を与えるからです。
火山法皇も、このパワーで無事山を登りきったのでしょう。
ということで、今日は施福寺について説明しました。行くのは大変ですが、とても良いお寺です。ぜひお参りしてみてください。
それでは。