山田大雅の仏像ブログ

仏像好きがお寺や仏像などについて解説します。

神呪寺 見所

今日は、西宮市にある神呪寺(かんのうじ)について説明します。

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神呪寺の本堂。ここに如意輪観音がある(ただし毎年5月18日のみの開帳)。



概要

淳和天皇の妃が出家したお寺として有名。

・ここの如意輪観音は日本三如意輪の一つ。カラー写真か白黒写真かで雰囲気が異なる(?)

 

まずは名前についてです。神呪寺という字面を見ると、なにやら恐ろしい雰囲気もありますね。しかし、「神呪」にそのような意味はありません。

「神呪」とは、般若心経に登場する単語で、偉大なご真言(真言とはおまじないのようなもの)という意味です。

般若心経では、自身のことを指して「是大神呪」と言う部分がありますが,ここからとっているのです。

 

次に歴史を説明します。

創建は831年。甲山(かぶとやま)の中腹のこの地に空海が創建しました。

その後、淳和天皇の妃「真井御前(まないごぜん)」が出家してこのお寺に入ります。その数年後、淳和天皇がこのお寺に赴き真井御前と再開したらしく、このお寺には「淳和天皇勅願所」との石碑が建てられています。

 

次に見所を説明します。見所は本尊の如意輪観音です。

寺伝によると空海自ら彫ったもので、平安時代初期のものです。実際には,10世紀から11世紀頃の作品であるそうです(wiki)。

 

ここの如意輪観音は、日本三如意輪の一つに挙げられるほどの優品です。

 

これは一般に言われていることではないのですが、思ったことがあるのでお伝えします。

この如意輪観音は、カラー写真か白黒写真かで雰囲気が全然異なるように感じます。

カラー写真で見ると、顔は結構つぶれて(目口鼻がはっきりと区別できない状態をいいます。)いますが、優しい雰囲気を感じます。すなわち典型的な平安後期の雰囲気を感じます。

一方、白黒写真で見ると、特に目がキリッとしている様子がはっきりと見ることができます。この目は、興福寺東金堂の文殊菩薩などとよく似ているように感じ、すなわち鎌倉初期の雰囲気を感じるのです。

とても不思議だと思ったので、個人的に思ったことでしかありませんが、お話しいたしました。(著作権の関係で,写真を貼ることはできません。すみません。「神呪寺 如意輪観音」で画像検索をすると出てくると思います。

 

最後に重要な点ですが、如意輪観音は毎年5月18日しかご開帳されませんので、ご注意ください。

 

神呪寺は甲陽園駅から坂道を2キロほど登った先にあります。やや坂がきついですが、別に山道などではなく、住宅街ですので、道は整備されています。如意輪観音が見られなくとも、お寺からの街の景色が良いので、楽しむことができます。ぜひ行ってみてください。

 

それでは。