山田大雅の仏像ブログ

仏像好きがお寺や仏像などについて解説します。

等持院–足利将軍家の菩提寺

今日は,京都市にある等持院(とうじいん)について説明します。

f:id:butsuzo-suki:20211218210347j:plain

1 概要

等持院はちょっと聞いたことがないですね・・・。という方が多いかもしれません。しかし等持院は,なんと室町幕府歴代将軍家である足利氏の菩提寺となっているお寺です。

菩提寺というのは,ある人の死後の冥福を祈るお寺です。ざっくりいうと,亡くなった後にその人が所属するお寺と言っていいでしょう。

例えば,徳川将軍家菩提寺,東京タワーの麓にあることで有名な増上寺です。あるいは天皇家であれば,東福寺の近くにある泉涌寺というお寺が菩提寺です。

等持院は,歴史的にも重要な足利氏の菩提寺ということですから,とても由緒正しいお寺ということになります。

2 お寺の由来

創建は足利尊氏で,有名な禅僧の夢窓疎石を初代住職として開かれました。

その後,別の場所にあった足利氏の菩提寺である「等持寺(とうじじ)」を吸収し,このお寺が足利氏の菩提寺としての地位を承継しました。お寺の名称も,この「等持寺」に由来します。

足利尊氏が亡くなると,彼もこのお寺に葬られ,以後,歴代の足利将軍もここに葬られるようになりました。

3 見所

ここの見所は二つあります。

3−1 見所一つ目

一つ目は,歴代足利将軍の木彫像です。ここが室町歴代将軍家の菩提寺であることから,このような像があるのです。

足利の合計15代の将軍のうち,5代と14代を除いた13体の木彫像が一堂に会する姿は圧巻です。

その中でも特におすすめなのは,7代の足利義勝(よしかつ)の像です。

彼は9歳という若さで亡くなってしまった将軍ですから,像もまだ幼い子供の姿をしており,可愛いです。

f:id:butsuzo-suki:20211218210604j:plain

7代将軍足利義勝(よしかつ)。子供の姿なのが印象的。(https://www.kyuhaku.jp/exhibition/exhibition_s55.htmlより。)
3−2 見所二つ目

二つ目の見所は,庭園です。

言い伝えによると,初代住職で作庭の名人でもある夢窓疎石天龍寺の庭を作ったことでも有名)が作ったもの。庭には足利尊氏のお墓とも伝わる石の塔もあるので,是非見つけてみてください。

そして,このお寺では500円で抹茶をご馳走になることもできます。お茶を飲みながら見る庭の景色はさらに素晴らしいものですから,ぜひご馳走になってみてください。

f:id:butsuzo-suki:20211218210813j:plain

庭園。抹茶とともに。

4 (失礼ながら)おすすめ度

☆☆★★★ (星3/5)

5 最後に

このお寺ですが,入り口がやや複雑です。下の図で,赤く丸をした場所からしか入ることができないので,注意してください。立命館大学の方から入ることはできません。

f:id:butsuzo-suki:20211218210202j:plain

等持院の入り口。南から入ることとなる。

ということで,今日は等持院について説明しました。足利歴代将軍家と美しい庭園のあるお寺。皆さんも是非行ってみてください。

それでは。