奈良の大仏とは?
実は,
お釈迦様は
奈良の大仏の化身
であること,知っていましたか・・・?
ということで,今日は,みんな大好き
について説明します。
「奈良の大仏?んなの知ってるわ。寝るわ」と思ったそこのあなた。
そう言わず,ぜひ読んでみてください。目から鱗の話もたくさんあって絶対面白いです。
なんせ,仏像好きが語る奈良の大仏ですから,面白くないはずがありません。
1 「仏像=釈迦様の像」ではない
奈良の大仏について説明する前提として,よく勘違いされがちなことについて説明します。
それは「仏像=お釈迦様の像」ではないということ。
具体的には,仏像にも色々な種類があるということです。
お釈迦様というのは,言わずと知れた仏教の開祖で,正真正銘の実在の人間です。紀元前5世紀頃(諸説あり)に生きていた人間です。
一方の仏像とは「仏教における尊い存在をモデルにした像」のこと。
そして,仏教における尊い存在というのは,お釈迦様以外にもたくさんの種類があります。
ですから,お釈迦様の像が仏像の一つであることは間違いありませんが,仏像には,それ以外にも色々な種類があるのです。
例えば「お地蔵様」とか「阿弥陀様」とか「観音様」とかは,皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか。
これらは,全てお釈迦様とは全く別の存在です(ちなみに,ここにあげた例はいずれも架空の存在ですが,実在の人間をモデルにしたものもあります。)。
前置きが長くなりました。
じゃあ,奈良の大仏はお釈迦様の像なのかどうかが問題となります。
実は,奈良の大仏はお釈迦様の像ではありません。
「え?あれお釈迦様じゃないの?」と思った方,先を読んでください。
2 奈良の大仏
2−1 奈良の大仏は盧舎那仏(るしゃなぶつ)
では,奈良の大仏は,一体なんの種類の仏像なのでしょうか。
結論から言うと,奈良の大仏は「盧舎那仏(るしゃなぶつ)」という種類の仏像です。
「漢字むずいな,ふざけんな」と思った方,まあそう怒らないでください。
2−2 盧舎那仏とは
次に,その盧舎那仏について説明してゆきます。
結論から言うと,盧舎那仏は「宇宙の真理そのもの」という最強の存在。
いきなりそんな話をされても実感できないと思いますから,もう少し具体的に説明してゆきます。
仏教の世界観に,次のようなものがあります。①この宇宙には無数(10兆個)の世界がある。②一つの世界には一人の仏(つまり悟りを開いた人)がいて,その世界の人々に教えを説く。③我々が住むこの世界の担任の仏こそが,何を隠そうお釈迦様である。
10兆個とは!もはや壮大すぎてよくわかりませんね。
そして,その無数の世界によって構成される宇宙の中心にいる,宇宙の真理そのものの存在が,盧舎那仏なのです。
もはやチート級の存在であることがおわかりいただけたと思います。
2−3 お釈迦様は盧舎那仏の化身
盧舎那仏がすごいのはここから。
盧舎那仏は,その無数の世界一つ一つに対して,自らの化身として仏を送り込みます。
つまり,合計で10兆体の化身を各世界に送り込むということです。
本体は宇宙の中心でじっとしていて,実際の人々の救済は自分の化身にさせるということ。アニメにありそうな話です。
そして,化身の一人としてこの世界に派遣されてきたのが,あのお釈迦様ということ。つまり,お釈迦様というのは,盧舎那仏の化身だったのです
2−4 そういう意味では・・・
そういう意味では,奈良の大仏を見て「あれお釈迦様じゃないの?」と思ったのは,ある意味では正しいです。お釈迦様が盧舎那仏の化身つまりコピーということなので,両者の姿は同じとなるはずであるからです。
2−5 盧舎那仏は最高神ではないのか
盧舎那仏がチート級の凄さを持つことは,ご理解いただけたと思います。
そうすると次の疑問は,それならば,盧舎那仏は仏教の最高神と考えて良いか,ということでしょう。
結論から言うと,一概にそうとは言えません。
なぜなら,上で話した一連の話は,数ある仏教のお経の中の一つに書かれていることでしかないからです。
実は仏教というのは,古事記などのように単一の物語でできているわけではなく,時代を通じて,たくさんの種類のお経が作られています。
今回紹介した「盧舎那仏」が登場するのは,その数あるお経の中の一つ「華厳経(けごんきょう)」というもの。
仏教の経典はこれ以外にも多種多様なものがあり,それぞれバラバラなことを言って,バラバラな仏を登場させたりしています。
つまり盧舎那仏は,数ある経典の一つにおける最高神(「最高神」という表現が良いかは知りませんが…)でしかなく,仏教全体の最高神のような存在ではありません。
3 どうして奈良の大仏が作られたのか
奈良の大仏が,そんなチート級の存在をモデルにした仏像であることはおわかりいただけたでしょう。
次に,どうして奈良の大仏が作られたのかについて説明します。
聖武天皇は,日本各国に国分寺をつくり,それら国分寺を統括する都のお寺として東大寺を位置付けました。
なぜか。中心があって,その中心から各世界にパワーが放射されるという盧舎那仏の世界観と,中心の東大寺が各地方の国分寺を統括するという状況がピッタリあっていたからです。
あるいはもっというと,中央政府が各地方の民を直接支配するという律令体制の考えとあっていたからです。
よく考えられていますね。
4 奈良の大仏を見る
最後に,奈良の大仏の見方をお教えします。
奈良の大仏を見るときは,ぜひ大仏が座っている台座に着目してみてください。
奈良の大仏の台座は,ハスの花をかたどっています。
その花びらの一つ一つをよく見ると,仏の絵が描かれていることがわかると思います。
これが意味するのは,上で述べたように,宇宙の中心の盧舎那仏が各世界に仏の化身を送り込んでいる様子です。
というのは,上では説明しませんでしたが,お経には,盧舎那仏は,宇宙の中心にあるハスの花の上に座っていると描かれています。そして,このハスの花びら一枚一枚が無数の世界によってできているとも書かれています。
だから,このハスの花びら一枚一枚に仏が描かれているのは,それぞれの世界に仏を送り込んでいることを示しているのです。
奈良の大仏の台座のハスの花びら一枚一枚に仏の絵が描かれているのは,まさにこの経典の記述を受けてのものなのです。
しかし,細部まで本当にこだわっていますね。
5 おすすめ度
★★★★★(文句なしの星5/5)
6 最後に
ということで,今日は,日本で一番有名な仏像,奈良の大仏について説明しました。
皆さんもぜひ東大寺に行って,宇宙を感じてみてください。
それでは!