山田大雅の仏像ブログ

仏像好きがお寺や仏像などについて解説します。

円成寺-運慶のデビュー作のあるお寺

今日は、奈良市にある円成寺というお寺について説明します。


まずはアクセスですが、公共交通機関で行った場合非常にアクセスが悪いです。一応バスがありますが、本数が極めて限られているので注意が必要です。


円成寺山号は忍辱山(にんにくせん)です。


忍辱山とは何かということですが、お釈迦様が悟りを開く前に修行した5つの場所の一つの名前です。


ここ奈良盆地東北部の山は、上記故事に基づいて五つのお寺が建てられ、それぞれ上記の山号を掲げていました。

 

その五つの場所とは、忍辱山、誓多林、菩提山、鹿野園そして大慈山とのことです(円成寺ホームページより)。


そしてここ円成寺がある場所は、その一つの忍辱山です。


ちなみに、円成寺の近くには誓多林町という町がありますし、そのさらに近くには鹿野園町という町があります。そしてその近くには大慈仙町(仙の字は変換ミスではない)という町があります。

また、上で出した正暦寺は、菩提山という山号を持っています。


そんな円成寺ですが、見所は大きく二つあります。


そのうちより大きいものは、運慶作の大日如来坐像です。


おそらく円成寺に来る人の99%はこれが目当てだと言えるくらい重要です。


なぜそんなに重要なのかというと、これが運慶の現存最古の作品であると言われているからです。


大正10年、大日如来坐像台座の修理の際に、台座の裏面に墨書が発見されたらしいです。


その墨書を見ると、運慶が1176年に完成させたことがはっきり書かれていたのです。


これは運慶20代の頃と考えられています。


さて、仏像を見ると、もちろんバイアスはかかっているでしょうが、細長い目や微妙な顔立ちは他の運慶の作品に確かに似ている気がします。


例えば静岡県瑞林寺の地蔵菩薩六波羅蜜寺地蔵菩薩などですかね(ちょっとマウンティングしました。すみません)。


ちなみに、元々は境内にある多宝塔に安置されていたみたいですが、今は、最近整備されたと思われる綺麗で小さい収蔵庫に安置されています。


二つ目は、国宝の春日堂と白山堂です。


堂とありますが、明らかに神社の建築物です。wikiによると明治期の神仏分離令による破壊を免れるために堂と名乗ったとのことです。


周囲を見ても特に説明書がありませんし、木々の中にポツンとある小さな祠のようなものですので、知らなければまず見落とすと思いますが、国宝です。


春日大社から移したものらしく、春日造最古の建物とのことです。


こちらも見落とすことのないように見てみてください。


ということで、簡単ですが円成寺について説明しました。


ちなみにこの辺りは柳生という場所です。柳生宗矩とか十兵衛が有名だと思いますが、その柳生藩が治めていた場所です。合わせて観光をしてみては?


それでは。