山田大雅の仏像ブログ

仏像好きがお寺や仏像などについて解説します。

2021-01-01から1年間の記事一覧

阿弥陀如来とは?(前半)

阿弥陀如来・・・ 「阿弥陀仏」とか「阿弥陀さま」とかとも呼ばれます。皆さんも聞いたことがあるでしょう。 この阿弥陀如来が住む世界が,かの有名な「極楽浄土」です。 この極楽浄土,実は 悟りを開くための「トレーニングジム」 であること,知っていまし…

奈良の大仏とは?

日本一有名な仏像といえば,東大寺の「奈良の大仏」。 実は, お釈迦様は 奈良の大仏の化身 であること,知っていましたか・・・? ということで,今日は,みんな大好き 東大寺の「奈良の大仏」 について説明します。 奈良の大仏。でかい。 「奈良の大仏?ん…

うつむく仏様(秋篠寺技芸天像)

仏像といえば,普通は真っ直ぐ前を向いてこちらを見守ってくれるもの。 しかし,奈良市の秋篠寺(あきしのでら)というお寺には,なんと 斜め下にうつむく仏様 がいるのです・・・。 そして,このうつむきは,奈良時代と鎌倉時代の仏師の, 時を超えた共同製…

今城塚古墳–足を踏み入れることができる唯一の天皇陵

天皇の古墳。それは宮内庁が厳重に管理しており,入ることが許されないところ・・・。 しかし,日本には,実際に入ることができる天皇の古墳がただ一つだけあること,皆さん知っていましたか・・・。 ということで,今日は,「日本で唯一の足を踏み入れるこ…

總持寺–亀に乗った千手観音!

今日は,大阪府茨木市にある總持寺(そうじじ)について説明します。(なお,横浜に曹洞宗の大本山として同じ名前のお寺がありますが,無関係です。) 總持寺の入口の門。立派である。 總持寺は駅の名前でしか聞いたことがないっすね,実際にお寺があんの?…

等持院–足利将軍家の菩提寺

今日は,京都市にある等持院(とうじいん)について説明します。 1 概要 等持院はちょっと聞いたことがないですね・・・。という方が多いかもしれません。しかし等持院は,なんと室町幕府歴代将軍家である足利氏の菩提寺となっているお寺です。 菩提寺とい…

千手寺 – 極楽浄土信仰の千手観音

今日は,大阪府東大阪市にある千手寺(せんじゅうじ)について説明します。 千手寺本尊千手観音立像(康成,1357年)。やや厳しい目つきをしていることが特徴。 1 千手寺の概要 1−1 極楽浄土とは 突然ですが,大乗仏教には極楽浄土という考えがあります。…

永観堂–横を向いた阿弥陀如来があるお寺

今日は、京都市左京区にある永観堂(えいかんどう)(正式には禅林寺。)について説明します。 永観堂の紅葉の様子。ちょっとまだ早いかも。 1 永観堂の概要 永観堂を語る上で外すことができない重要人物は、このお寺の中興の祖でお寺の名前の由来ともなった「…

相国寺ーなき龍・八方睨みの龍がいるお寺

今日は,京都市にある相国寺(しょうこくじ)について説明します。 1 相国寺概要 相国寺を一言で言えば「室町幕府御用達のお寺」となるでしょう。そう言える理由は下記1−1から1−3の通りです。 1−1 創建 相国寺は,足利義満が1392年(南北朝が合一した…

清凉寺2–仏像の歴史の過渡期にある阿弥陀三尊

今日は,清凉寺阿弥陀三尊像について説明します。 清凉寺阿弥陀三尊像(『日本仏像史』(美術出版社)より」 1 はじめに 清凉寺の歴史と,清凉寺の本尊である釈迦如来立像については, こちらで説明しました。今回は,もう一つの見所である清凉寺阿弥陀三尊…

清凉寺–内臓模型が封入された釈迦如来

今日は、京都市右京区にある清凉寺(嵯峨釈迦堂)について説明します。 清凉寺(嵯峨釈迦堂)の山門 1 お寺の歴史 まずはお寺の歴史を簡単に説明します。このお寺は二つのステップで成立しているので、それぞれ説明してゆきます。 ①第一ステップ もともとここ…

同聚院-仏師界のレジェンドの父が作った不動明王

今日は、京都市東山区にある同聚院(どうじゅいん)について説明します。 まずはお寺の概要を説明します。 今東福寺がある場所は、平安時代には、藤原忠平が925年に創建した「法性寺(ほっしょうじ)」という大寺院がありました。 1006年、時の権力者の藤原道長…

兜跋毘沙門天(東寺宝物館)–異国情緒あふれる毘沙門天

今日は,東寺宝物館にある兜跋毘沙門天(とばつびしゃもんてん)(中国唐時代,国宝)について説明します。 東寺宝物館にある兜跋毘沙門天(『日本仏像史』(美術出版社)より) 兜跋毘沙門天とは何か,結論から言うと,中国の兜跋と言う都市が異民族に攻め…

現光寺-寂れた寺にある美麗な十一面観音

今日は、京都府木津川市にある現光寺について説明します。 概要 ・近くの海住山寺が管理するお寺 ・座っている十一面観音が優美 まずは現光寺の概要ですが,これはサラッと行きます。 創建はよくわかっていませんが,鎌倉時代にはできていた寺院です。 その…

安祥寺-奈良時代の十一面観音があるお寺

今日は、京都市山科区にある安祥寺について説明します。 まずはお寺の歴史を簡単に説明します。 創建は848年。空海の孫弟子の恵運という僧侶により創建されました。そのため真言宗のお寺です。 当時は、背後にある山の上の方にある上寺(かみでら)と、麓にあ…

向源寺-秀麗な十一面観音

今日は、滋賀県長浜市にある向源寺について説明します。 概要 ・日本でも有数の美しさを持つ十一面観音(国宝) ・顔は法華寺十一面観音、姿は東寺講堂梵天に似ている。不思議な魅力に溢れる。 まずはこのお堂の概要を説明します。 ときは奈良時代。天然痘の流…

福智院 見所

今日は,奈良市にある福智院(ふくちいん)について説明します。 福智院の入り口 概要 ・運慶の父康慶が彫ったと言われる地蔵菩薩坐像が見所。 ・地蔵菩薩という菩薩の身分でありながら光背に多くの化仏をつけることから,「地蔵大仏」と呼ばれる。567体…

神呪寺 見所

今日は、西宮市にある神呪寺(かんのうじ)について説明します。 神呪寺の本堂。ここに如意輪観音がある(ただし毎年5月18日のみの開帳)。 概要 ・淳和天皇の妃が出家したお寺として有名。 ・ここの如意輪観音は日本三如意輪の一つ。カラー写真か白黒写真かで…

仙洞御所 見所

今日は,京都市にある京都仙洞御所について説明します。 仙洞御所南池と洲浜 「仙洞御所」と言うのは,上皇の御所のことを言います。「仙洞」はもともと仙人が住む洞窟という意味です。仙人は不老不死であることから,上皇も是非長生きしてくださいという意…

修学院離宮 見所

今日は,京都市にある修学院離宮(配布されるパンフレットには「しゅうがくいんりきゅう」とあるが,wikiには「しゅがくいんりきゅう」とある。)について説明します。 修学院離宮上離宮の龍源池 まずは名称についてです。修学院離宮といっても,この離宮の…

曼殊院門跡 見所

今日は、京都市にある曼殊院門跡(まんしゅいんもんぜき)について説明します。 曼殊院門跡の入り口 概要 ・天台宗の門跡寺院。「天台五箇室門跡」(京都にある5つの大きな天台系門跡寺院のこと。)のひとつ。 ・大津市の三井寺にある黄不動画像を模写した「黄不…

施福寺–山中にある古刹

今日は、大阪府和泉市にある施福寺について説明します。 山門。ここから本堂まで長い階段が始まる。 ここは、西国三十三所の第4番札所として有名です。 まずは公共交通機関を使った場合のアクセスから説明します。 泉北高速鉄道和泉中央駅まで電車で移動し、…

延暦寺-天台宗の総本山

今日は、大津市にある延暦寺について説明します。 根本中堂の碑文。 まずはアクセスについてです。 今回私は、①京都市の出町柳駅から叡山電鉄に乗って八瀬比叡山口まで行き、②そこから叡山ケーブルに乗って比叡山の中腹まで登り、③そこから歩いて延暦寺に向…

天上寺−摩耶山の頂上にあるお寺

今日は、兵庫県神戸市にある天上寺(てんじょうじ)について説明します。 天上寺の入り口。正式名称が「忉利天上寺」であることがわかる。 天上寺は、摩耶(まや)山という神戸にある山の山頂にあります。後で説明しますが、摩耶とはブッダのお母さんの名前…

百済寺跡−枚方にある特別史跡

今日は、枚方市にある百済寺跡について説明します。 百済寺跡。今はこのように広い公園+水遊び場のようになっている。 ここは、新羅・唐連合軍によって滅ぼされた百済から亡命してきた百済王族が氏寺としてたてらお寺でした。つまり渡来人のお寺のというこ…

鳥羽離宮−今はなき院政の舞台

今日は,京都市にあった鳥羽離宮について説明します。 近衛天皇陵。御廟に多宝塔が立つのは珍しい。 まずは簡単に概略を説明します。 鳥羽離宮は白河天皇(以下この記事では,天皇や上皇や法皇は区別しません)によって造営されました。当時は「都遷りが如し…

三井寺-美しい鐘のあるお寺

今日は,滋賀県大津市にある園城寺(おんじょうじ)について説明します。通称は「三井寺」(みいでら)なので,以下「三井寺」で統一したいと思います。 場所は大津市役所のすぐ近くですから,アクセスも良いです。 まずは由来について説明します。 三井寺と…

壽宝寺-実際に千本の手をもつ観音菩薩

今日は、京都府京田辺市にある壽宝寺(じゅほうじ)について説明します。 京田辺にある小さなお寺ですが、ここの千手観音が本当に素晴らしいです。 なぜかというと、まず、この千手観音には実際に1000の手が付いているからです。このように、実際に1000の手が…

中山寺–西国三十三所の宝印が納められたお寺

今日は,兵庫県宝塚市にある中山寺を説明します。 このお寺の創建は聖徳太子と伝わりますが,ここはあっさりといきます。 重要だと思うのはここからです。 このお寺は,西国三十三所巡礼の創始者であると伝わる徳道(とくどう)上人という僧侶が宝印を納めた…

明石城-巽櫓と坤櫓のお城

今日は、明石市にある明石城について説明します。 元々この辺りは池田光政が藩主を努める姫路藩の領域で,船上(ふなげ)城という姫路藩の支城が建っていました。 そんな中幕府は,中国や九州など西国にいる外様大名の監視のため,山陽道の要所であった明石…