阿弥陀如来とは? (後半)
前回は,阿弥陀如来について説明していたところでした。
前回のブログをご覧になっていない方は,まずこちらの記事をご覧ください。
今日も,引き続き阿弥陀如来について説明してゆきます。
今回のブログでは,
阿弥陀如来は超ストイックな仏
であることについて説明してゆきます。
面白い話が満載ですから,ぜひご覧ください!
1 阿弥陀如来とは
前回は,阿弥陀如来が治めているとされる「極楽浄土」について説明しました。
今日は,そんな阿弥陀如来とは一体どんな存在であるのか,詳しく説明してゆきます。
最初に確認ですが,もちろん阿弥陀如来というのは架空の存在です。間違いないようにしてくださいね。
2 もと法蔵菩薩
しかし,もちろん阿弥陀如来にも「菩薩」つまり修行時代がありました。
修行時代の彼の名前は「法蔵菩薩(ほうぞうぼさつ)」です。
2 ストイックその1
2−1 とにかく考える
法蔵菩薩がとにかく頑張って素晴らしい極楽浄土を造営したことは,前回述べた通りです。
実は,極楽浄土を作る前段階として,法蔵菩薩は,自分が一体どんな世界を作りたいかじっくりと考えたのです。
今風にいうと,極楽浄土の設計図をじっくりと作成していたということです。
法蔵菩薩(のちの阿弥陀如来)のストイックさが発揮される一つ目の場面がここです。
法蔵菩薩は,なんと「五劫(ごこう)」という時間の間,ずっと考えていたのです。
2−2 五却とは
五劫とは,一却の5倍の長さの時間です。で,一却とは,次のような長さです。
1辺60キロメートルの立方体状の巨大な岩に,3年に一度天女が舞い降りて,着ている羽衣で岩の上をさっと一撫でしてまた帰る。これを繰り返して、その岩が削れて砂になるまでにかかる時間。
これが一却。巨岩を3年に1度服の袖で撫でて,最終的に粉々になるまでにかかる時間ということです。
これが一却ですから,五却というのはこの五倍の時間。
まあ,早い話,ありえないほどの長さです。
超ストイックですね。
2−3 五劫思惟(しゆい)阿弥陀如来
それだけ長い間考えていたのですから,もちろん,法蔵菩薩の髪は伸び放題に伸びます。
その髪が伸び放題に伸びた法蔵菩薩の姿は,「五劫思惟阿弥陀如来」という名称(「阿弥陀如来」とありますが,厳密には法蔵菩薩です。)で,たまに仏像の題材とされます。
この写真を見てください。これが「五劫思惟阿弥陀如来」です。
髪が伸びまくってアフロとなっていますね。
3 ストイック・その2
法蔵菩薩のストイックさはこれにとどまりません。
五却の間考えて構想を練った後,法蔵菩薩はついに極楽浄土の造営に着手します。
造営にかけた時間,これが半端ない。
なんと法蔵菩薩は,極楽浄土の造営に「不可思議兆載永劫(ふかしぎちょうざいようごう)」という時間をかけました。もはや必殺技みたいな名前です。
これがどれくらいの長さであるか,これはよくわかっていません。まあ,「永劫」とかいうくらいですから,想像もできないほどの長さであるということです。
超ストイックですね。
4 法蔵菩薩,ついに阿弥陀如来となる
不可思議兆載永劫の間極楽浄土の造営を行い,並行して修行も行い,ついに極楽浄土が完成して法蔵菩薩は悟りを開きました。
そうしてもらった名前が「阿弥陀如来」なのです。
そんな阿弥陀如来ですが,無限の寿命を持っており,今でも極楽浄土で活躍しています。
シャバのオーナーである釈迦如来(=お釈迦様)がとうの昔に亡くなってしまったのとは対照的です。
5 阿弥陀如来の見分け方
5−1 「両手とも指で輪を作っていれば阿弥陀如来」
以上が,阿弥陀如来についての話でした。
ここは仏像ブログですから,最後に仏像関係のお話をさせていただきます。
ここでは,阿弥陀如来の見分け方を説明します。
結論から言うと,基本的には
「両手とも指で輪を作っていたら阿弥陀如来」です。
例えば,こちらの仏像は阿弥陀如来です。実際に指で輪を作っていることがわかると思います。
5−2 注意点
阿弥陀如来を見分けるにあたっての注意点をお話しします。
阿弥陀如来を判別するためには,必ず
両手とも
指で輪を作ってるかどうかをみてください。片手だけ見て満足してはいけません。
なぜなら,片手だけ輪を作っている阿弥陀如来以外の仏像はたくさんあるからです。
5−3 練習問題
では,二つだけ練習問題を出してみます。わかるでしょうか。
第1問
これは阿弥陀如来でしょうか。
これは阿弥陀如来です。両手とも指で輪を作っていますから,阿弥陀如来であることがわかりますね。
第2問
これは阿弥陀如来でしょうか。
これは阿弥陀如来ではありません。確かに右手は指で輪を作っていますが,左手は輪を作っていません。(ちなみに,これは奈良市の薬師寺にある薬師如来という種類の仏像です。)
右手だけ見て「あ,輪を作っているわ。じゃあ阿弥陀如来でしょ?」と早合点しないように注意してください!
6 最後に
ということで,二つの記事にわたって阿弥陀如来について説明してきました。
長くなりましたが,お読みいただきありがとうございました。
それでは!